投稿日: 2022年3月15日
まず、「研究開発中の製品」と「研究開発開発向け製品」は異なります。
今回は、後者の低電圧指令とEMC指令、RoHS指令における「研究開発向け製品にCEマークは必要なのか」について解説していきます。
ちなみに、前者の「研究開発中の製品」については、まだ市場に出ていないためCEマークは不要です。
CEマークを製品に貼付するということは、その製品がどの国で設計・製造されたものであっても、EU域内で販売できることを意味します。正確には、”sold “ではなく “placeed on the market or put into service “という表現が使われています。
話を戻し、「研究開発開発向け製品」について見ていきましょう。
低電圧指令(LVD)とEMC指令の法令原文に適用除外項目として下記が書かれています。
「研究開発の目的のため研究開発施設においてのみ使用される専門家のために予定されたカスタムメイドの評価用キット」
RoHS指令には下記記載があります。
「企業間(BtoB)を基準に利用可能な研究開発目的のためのみに設計された装置」
こちら読むと、販売先や使用先が研究所ならLVD、EMC、RoHSは適用除外ではないかと思ってしまいます。
それでは本当に適用除外なのか、各法令のガイドを見ていきましょう。
A kit that has been built on the basis of a specific request from a specific customer or from a group of customers involved in a joint research and development project as for all or certain characteristics of the evaluation kit.
A kit that has been built for the specific requirements of a specific customer or a group of customers involved in a joint research and development project as for all or certain characteristics of the evaluation kit. The unique design and characteristics of the kit makes it solely suitable for that research and development project.
If that evaluation kit is later on provided on a regular basis or once the kit is not used for that joint research and development project purpose, it can no longer be considered a custom-built evaluation kit.
(LVD、EMCガイド抜粋)
All devices/equipment used on a regular basis (such as laboratory equipment) to perform tests for the purposes of research and development or for other applications such as to demonstrate the conformity or quality of a product.
Evaluation equipment for users in general in R&D departments (in this case, the equipment is always the same and is not “custom built”)
(LVD、EMCガイド抜粋)
上段が適用除外の恩恵を受けられる装置について書かれており、下段が適用除外の恩恵を受けられない装置について書かれています。
まずは上段から読み解きますと、適用除外の恩恵が受けられる装置は、特定の研究のみに使用でき、その研究/開発プロジェクト以外では使えないもの、と書かれています。これだけでは、まだ適用除外の可能性を捨てきれないので、下段の確認が必要です。
下段には適用除外の恩恵を受けられない装置とは、研究開発の目的で試験を行うため、製品の適合性及び品質を実証するために定期的に使用される機器、R&D部門で一般的に使用される評価機器と書かれています。
つまり、
特定の研究開発にのみ使用でき設計、製造された機器 〇
研究開発に使用できる機器 ×
となります。
次にRoHSについて見ていきましょう。
RoHS指令
Equipment specifically designed solely for the purpose of research and development, which is made available solely on a business-to-business basis, are excluded from the scope of RoHS 2. This is because if this type of equipment were to fall within scope of RoHS 2, it could place a burden on research, scientific advancement, development and innovation in the EU. ‘Research and Development’ (R&D) are activities which directly contribute to achieving advances in science or technology. EEE designed solely to achieve these objectives and only made available on a business to business basis meets the criteria and are excluded from the scope of RoHS 2.
This exclusion will only apply to specialised EEE that are custom built solely for very specific R&D applications.
(RoHS FAQ抜粋)
Standard equipment such as monitoring devices or instruments for chemical analysis and other laboratory equipment that can be used both for R&D applications and in commercial or other applications, will not benefit from this exclusion. Neither does it apply to equipment designed and put on the market to test, validate or monitor R&D equipment and/or prototypes as that equipment would belong to category 9.
(RoHS FAQ参抜)
こちらも上段が適用除外の恩恵を受けられる装置について書かれており、下段が適用除外の恩恵を受けられない装置について書かれています。
上段を読み解きますと、「研究開発」とは、科学又は技術の進歩に直接寄与する活動を指し、
これらの目標を達成するためだけに設計され、事業者にのみ提供される機器はRoHS 2の対象から除外されると書かれています。
下段には研究開発用途および商業用途またはその他の用途の両方に使用可能な化学分析用の監視装置または計器、およびその他の実験装置などの標準装置は、この除外から利益を受けないと書かれています。
RoHSもLVD、EMC同様に特殊な研究プロジェクトに使用される機器のみが適用除外の対象となっております。
つまり、研究開発向けの製品ほとんどはCEマークの対象となりますので、ご注意ください。
このように法令原文の一部の文言からでは自社にとって都合よく解釈できてしまうため、法令の意図や背景をきちんと把握/理解することが大切です。
故意でなくても法令の解釈を間違えてしまうと、法律違反となり罰則の対象となりますので、十分に注意をすることが重要です。
今回ご紹介した法令以外でも対象外となるケースはかなり稀ですので、自社製品がCEマークに該当するかどうか分からない、という場合は、「お問合せフォーム」よりお気軽にご連絡ください。