CEマークとは?
CEマークとは、製品がEU (欧州連合) 加盟国の法律に適合した証としてつけられる基準適合マークです。CEマークのデザインは、REGULATION (EC) No 765/2008のANNEXⅡで定められています。
1. CEマーキングは、次の形式のイニシャル「CE」で構成される
2. CEマークを縮小または拡大する場合は、目盛り付き図面に示されている比率を尊重する
3. 特定の法で特定の寸法を課さない場合CEマークは少なくとも5 mmの高さでなければならない
法律には沢山のカテゴリーが存在します。日本ではCEマークが分かりにくいといわれていますが、その一番の原因がこの法律のカテゴリー分類です。
日本では法律が違えば、マークも違います。ですので、見た目で簡単に判断できるようになっています。しかし、CEマークの場合、製品上のCEマークは同じデザインのため、見ただけではどの法律カテゴリーに該当しているのか判断できません。
「CEマーク」は具体的な法律要求に基づいた対応が必要
そこで問題になっているのが言葉だけが独り歩きし、「CEマーク」の文言だけが有名になっていることです。
お客様からのお問い合わせで多いのが、「ユーザーからCEマークを取ってきてと言われました」です。しかし「CEマークを取ってきて」だけでは、どのカテゴリーのCEマークなのかわかりません。
「CEマーク」の該当指令/規格一覧
CEマークの該当する指令/規則は24カテゴリー存在します。
No |
指令番号 |
指令の名前 |
1 |
2014/35/EU |
低電圧指令 |
2 |
2006/42/EC |
機械指令 |
3 |
2014/30/EU |
電磁両立性(EMC)指令 |
4 |
2014/34/EU |
防爆機器指令 |
5 |
2014/68/EU |
圧力容器指令 |
6 |
2017/745 |
医療機器規則* ※2020年5月26日より適用 |
7 |
2017/746 |
体外診断用医療機器規則* ※2022年5月26日より適用 |
8 |
2014/29/EU |
簡易圧力容器指令 |
9 |
2016/426 |
ガス機器規則 |
10 |
2009/48/EC |
玩具指令 |
11 |
2016/425 |
個人用保護具規則※2018年4月21日より適用 |
12 |
92/42/EEC |
熱水ボイラー指令 |
13 |
2014/28/EU |
民生用爆薬指令 |
14 |
2013/53/EU |
レジャー用船舶指令 |
15 |
2014/33/EU |
昇降機指令 |
16 |
2014/53/EU |
ラジオ・通信端末設備指令 |
17 |
2016/424 |
旅客用ロープウェイ設備規則 |
18 |
2014/32/EU |
測量機器指令 |
19 |
2013/29/EU |
花火指令 |
20 |
2014/31/EU |
非自動重量測定器指令 |
21 |
2005/88/EC |
屋外用機器の騒音指令(建設、ガーデニング用機器) |
22 |
2009/125/EC |
エコデザイン指令 |
23 |
2011/65/EU
(EU)2015/863 |
電気・電子機器における特定有害物質の使用制限
(RoHS指令) |
24 |
305/2011 |
建築資材規則 |
*いずれも現指令を置き換える新規則である |
本来であれば「○○の法律に基づいたCEマークを認証して欲しい」という表現が必要となります。
例えば、
・コンタクトレンズは医療機器としてのCEマーク
・ぬいぐるみは玩具としてのCEマーク
・家電は低電圧/EMC/RoHSとしてのCEマーク
・産業機械は機械/EMCとしてのCEマーク
・携帯電話は無線機器/RoHSとしてのCEマーク など
もちろん他にも用途によって様々なカテゴリーが存在します。
本来はユーザーから上記のような具体的な法律の要求があるべきですが、残念なことに欧州域内でもCEマークがきちんと認識されていないケースがほとんどです。
「CEマーク」違反は、製造業者の責任になる
一番怖いケースが、欧州のユーザーから「ただ製品にCEマークだけ貼って売って欲しい」、「何もしないで大丈夫だから売って欲しい」などの言葉を鵜呑みにして、CEマークの対応をせず輸出してしまうことです。もしユーザーに言われてそのまま輸出をしたとしても、欧州域内で全責任を負うのはユーザーではなく「製造業者」です。
CEマークの「製造業者」については別の記事にまとめておりますので、そちらを確認いただければと思いますが、欧州法令における製造業者とは実際に製造していなくても商標に記載してある会社のことです。そして、CEマークの法律違反が見つかった場合、製造業者は違反金、場合によっては禁固刑などの責任を負うことになります。違反内容によっては、会社として二度と欧州に輸出できなくなる可能性もあります。
このような事件が起きてしまう要因は2つあります。
・1つ目:製品監査が全検査ではないためバレにくい
・2つ目:ユーザーはいかなる場合でも責任を負わない
つまり、もし法律違反がEU当局にばれたとしてもユーザーにはリスクがないため、製品を購入するため上記のように伝える場合があります。
ユーザーときちんと協議して基準となる法律を決めること
CE マークに対する安易な判断が、会社の存続を脅かす可能性があることをまずはご認識いただければと思います。製品に適用される指令/規則がCEマーキングを要求している場合、製品を上市する前に該当指令/規則に適合しCEマークを貼付することが製造業者の義務です。
CEマークを貼るためには、まずどの法律(カテゴリー)に該当するのかを選定する必要があります。これは簡単に思えますが、一筋縄ではいかない場合が多いです。そして、該当法令の選定後にはその法律に適合させるために、設計変更/部品変更/試験対策など様々な対応が必要です。最終的に、テクニカルファイルおよび適合宣言書と呼ばれる法令への適合の根拠を文書を作成、維持管理することが要求されてます。
簡単に見えて奥が深い「CEマーク」のことはプロに確認しましょう
これまで述べてきたハードルを越えてようやく法律に適合しているエビデンスを保有でき、晴れてCEマークの貼付に到達できます。日本と欧州では、安全に対する考え方などの違いがあるため、日本向けで製造している装置/機械の場合、そのままの状態ではCEマークを貼付できません。これは、仕方のないことです。CEマークへの適合は簡単に見えて奥は深いものです。もし、皆様の業務の中で「CEマーク」の言葉が出たら、まずはお問合せフォームよりお気軽にご相談ください。