機械指令2006/42/ECの要約
機械指令2006/42 /ECは産業機械、交換可能部品、安全構成部品、つり上げ用付属品、チェーン、ロープおよびウェビング、取り外し可能な機械的伝達装置、部分的に完成した機械などに適用されます。機械とは「駆動システム(人または動物の力を直接適用するものは除く)を装備した、または装備を意図したアセンブリで、連結する部品または構成部品で構成され、少なくともその部品のひとつは動作し、特定の適用用途のために結合されたもの」と定義されています。ただし、軍または警察用機械、LVDなど他の指令でカバーされるものは除外されます。
機械指令2006/42/ECの要件
機械指令2006/42/ECの本質的な要件は、その機械の製造者が自社製品に含まれる危険を特定し、そのリスクを分析・評価し、適切な対策を行った後、機械の使用者にこれらの危険が存在すること伝えることです。
特定されたリスクは、合理的に許容できるレベルまで低減させなければなりません。リスクを低減させるための詳細は、整合規格(EN ISO 12100)に規定されています。またはテクニカルファイル(TCF)/適合宣言書(DoC)の作成、製品にCEマークを貼付することを要求しています。
特別な手順の対象となる機械について
機械指令の附属書IVには、特別な手順の対象となる機械の約25種類のリストが含まれています。これらのリストに含まれる機械は、その機械が適用を受けるすべての整合規格の規定に完全に従わなければなりません。もしくは、ノーティファイドボディによる認証を受けなければなりません。 別の機械に組み込まれる機械(単独で目的を果たせない、使用できない)の製造者は「組込宣言書」を作成し、署名する必要があります。
機械指令の罰則規定
機械指令は各国の国内法化され、罰則規定が設けられます。それぞれの国で罰金などは異なります。
ここでポーランドの例を紹介します。ポーランドの機械業界では CE マークが非常に厳格に運用されています。理由は輸出機会を高めるためにポーランド自体がCE マークの正確な運用を強く望んでいることが挙げられます。特に機械業界では、CE マークを付けていない場合や CE マークに不適合がある場合は厳しく罰せられます。罰金は最高で約 25 万ユーロ(約4,000万円)です。
また欧州では、市場監視を行っておりCEマークを含めた違反製品の取り締まりを強化しています。この市場監視は通関時だけではなく、市場に投入された製品に対しても抜き取り検査が実施されています。
機械指令(MD)2006/42/ECの必須要求事項
機械指令の大半は製造業者自身またはEU内の権限を有する代理人によって自己適合宣言を行うことが可能です。しかし、製造者自身での評価は規格への適合や試験なども含まれますので、中々自社だけで進めるのは困難かと存じます。
もし何をしたらいいか分からない場合は、外部に相談することを推奨します。
機械指令2006/42/ECの附属書I(必須要求事項)には、機械の設計および動作から生じる潜在的な危険源の包括的なリストが示されており、達成されなければならない安全、そして避けなければならない危険が明記されています。
詳細な要件については、整合規格に規定されています。
世の中に存在する機械すべてをカバーする必要があるため、機械指令が参照する規格については階層構造(A→B→C)になっております。
基本的な機械の安全のための要件を定めた「タイプA」の規格はEN ISO 12100及びEN ISO 14121-1のみです。
そして「タイプB」の整合規格は補助規格です。
「タイプA」および「タイプC」適合の助けとなる規格群として捉えてください。
例)非常停止の設計 ⇒ EN ISO 13850
予期しない起動の防止 ⇒ EN ISO 14118
空気圧システム ⇒ EN ISO 4414
触れる表面の温度⇒ EN ISO 13732-1
など
最後に「タイプC」の規格は、特定の機械を扱います
例)コンプレッサーや真空ポンプ ⇒ EN 1012
エアハンドツール ⇒EN ISO 11148シリーズ
ゴムやプラスチック用の射出成型機⇒ EN201
AGV/AMR⇒ EN ISO 3691-4
など
上記の参照規格への適合後に製造者はTCF及びDoCを用意しなければなりません。
TCFには必須要求事項への適合を示したエビデンスと製品情報が含まれている必要があります。
機械指令(MD)2006/42/ECへの適合手順
MDの適合手順は下記となります。
- リスクアセスメントの実施
- リスクアセスメント結果及び参照規格に基づく設計変更
- 製造後に評価/試験の実施
- 各種ドキュメントの作成
以上の4ステップとなります。
リープの支援
弊社では下記支援の提供が可能です。
・事前構造確認(設計変更箇所の洗い出し)
・リスクアセスメントの共同実施
・設計変更に伴う技術相談
・評価/試験の実施
・各種ドキュメントの作成
お気軽にご相談ください。