機械指令と低電圧指令の違いとは
「自社製品をCEマークに適合させよう」と調べ始めたとき、電気機器の製造者の方々がぶつかる壁が、この「機械指令と低電圧指令のどちらで評価するべきか」ではないでしょうか。
「自社製品はどちらで進めるべきなの?」「両方を宣言しておけば大丈夫?」という皆様に向けて、この記事では、「機械指令」と「低電圧」の違いを解説していきます。
機械指令
まず、機械指令のスコープは下記となります。
・機械
・交換可能な機器
・安全コンポーネント
・吊り上げアクセサリー
・チェーン、ロープ、ウェビング
・取り外し可能な機械式伝達装置
・部分的に完成した機械(半完成品
低電圧指令
続いて、低電圧指令のスコープは「定格電圧がAC50〜1000 VおよびDC75〜1500 Vで設計されたすべての電気機器」です。
電圧定格は機器の内部電圧ではなく、電気入力または出力の電圧を指します。
低電圧指令と機械指令の境界線は
では、いよいよ機械指令と低電圧指令の境界についてご説明いたします。
欧州域内において下記指令は、低電圧指令よりも優先されます。
※下記法令に低電圧指令の要求が包含されている
・無線機器指令(2014/53 / EU)
・機械指令(2006/42 / EC)
・リフト指令(2014/33 / EU)
・ATEX指令(2014/34 / EU)
上記より低電圧指令よりも機械指令が優先的に適用されますが、例外的に低電圧指令の対象である機器も存在します。
その例外項目は機械指令の1条(2)の(k)に記載されております。
【機械指令の1条(2)(k)】
低電圧指令でカバーされている限り、以下の領域に該当する電気および電子製品 :
—家庭用の電気製品
—オーディオおよびビデオ機器
—情報技術機器
—通常のオフィス機械
—低電圧開閉装置および制御装置
—電動機
上記に当てはまる機器は、機械指令ではなく低電圧指令が適用されますので、低電圧指令での評価が必要になります。上記以外の装置で機械指令に当てはまった場合でも前述の通り機械指令には、低電圧指令の要件が含まれています。
電気製品の注意事項
機械指令は、電気機器だけでなく、機械的、化学的(特に攻撃的な物質の放出など)およびその他のすべてのリスクを含む、電気機器の使用から生じるすべてのリスクをカバーしています。
機械指令は低電圧指令と相互に排他的であるため、どちらか一方のみが適用され、両方は適用されません。つまり、両方の指令を適合宣言書(DoC)に記載することは出来ません。
以上が、欧州法令における機械指令と低電圧指令の違いです。
リープの支援
弊社では、機械指令と低電圧指令の判断サービスを行っております。
また機械指令/低電圧指令の包括的な適合支援も提供しております。
該当指令は、なかなか判断の難しい製品/装置もあります。「機械指令か低電圧指令かを気にしていたら、無線機器指令が抜け漏れていた」という事態も起こりがちです。機械指令・低電圧指令に限らず、該当法令の判断でお困りの方は、お気軽にご相談ください。