近年、海外輸出のコンサルティングサービスにおいては、サービスが多様化しています。その中でもCEマーク適合サービスに目を向けると、2000年前半まではほぼ認知度がありませんでした。

現在では多くの支援会社が存在しますが、支援方法は会社により千差万別です。

そこで、「自社はどの支援会社が適しているのか分からない」、「会社により扱う用語が違うため単純にサービスの比較ができない」というお声がありましたので、今回は参考までに記事にしてみました。

各社の特徴

まず、CEマークの適合支援サービスを行っている会社は大きく分けて2つです。

それぞれの特徴とどのような場合に依頼するのが良いか解説します。

【①認証機関・試験所】

認証機関・試験所では、第三者組織が要求される際に適用される整合法令に示された適合性評価手続きに関連する業務を提供しています。主に、製品安全、EMC/無線、自動車、鉄道、医療機器、マネジメントシステム、化学物質規制、食品安全などに対応する検査、試験、認証、審査の提供をしています。

認証機関は、校正、試験、認証及び検査業務の1つ又は複数の適合性評価要素を遂行する機関です。認証機関は、第三者が必要とされるとき、適用されるEU整合法令の意味において適合性評価手続きを実施するため、国家通知当局によって公式に指名された適合性評価機関なのです。これはEU 法令の下で「認証機関・ノーティファイドボディ」と呼ばれています。また一番の特徴として、コンサルティング業務が一切禁止されています。そのため、立場上、不適合箇所へのアドバイスや適合方法などを伝えることはできません。あくまでも、公平に評価を実施するのが認証機関・試験所の役割なのです。

【適した企業】

・CEマークの社内実績があり、試験や認証以外の法令/整合規格の順守やドキュメント作成は自社でできる

・製品の該当法令/整合規格の要求事項から認証機関/試験所など第三者機関の関与が必要となる

【適していない企業】

・CEマークの取り組みが初めて

・CEマークの対応に慣れてなく、法令/整合規格適合やドキュメント作成に不安がある

・製品の類似モデルも同時にCEマークの適合をしたいが、同じテストレポートを使用できるか判断できない

・欧州域外にも販売計画がある

【②コンサルティング会社・個人エンジニア】

一方で、コンサルティング会社・個人エンジニアは、認証機関・試験所よりも幅が広く、そのサービスは会社/エンジニアによって様々です。認証機関・試験所との大きな違いは、コンサルティング業務、技術相談、ドキュメントの作成代行が可能なことです。これらが可能なことで、製品の構造や試験がNGだった場合の対策支援や、複数モデルの同時評価に対する相談など、より柔軟なサービスを依頼することができます。

注意するべきは、そのサービス内容が会社/エンジニアによって大きく異なり、最悪の場合、知らないうちにCEマーク不適合な製品を、適合していると思い込んで輸出してしまう可能性があるということです。コンサルティング会社・個人エンジニアを選定する時には、本当に自社にとって適切なサービスなのかを見極める必要があります。

例えば、産業機械メーカーがCEマーク適合をしたいと考えて、複数のコンサルティング会社・個人エンジニアに見積依頼をしたとします。

コンサルティング会社・個人エンジニアは、サービスの範囲も深さも異なり、一概に費用や見積書だけでは判断しにくい側面があります。また最終的な製品に対する評価や書類が不足しているのに気が付かず、EU輸出してしまっていたケースもあります。CEマークは製造者による自己宣言によってマークを貼付するため、もしこのようにコンサルティング会社/個人エンジニアの支援に不足があったとしても、EU当局からの罰則の対象は製造業者となります。

そこで、自社製品を任せるのに十分な信頼できる会社・サービスなのかを判断することが重要です。

弊社が考える判断基準は下記です。

・支援項目の必要性を欧州法令に基づき説明できるか

・法令原文をきちんと理解しているか

・法令と規格の関係性を説明できるか

・支援内容を具体的に説明できるか

・支援前にスケジュールを策定できるか

「比較してもよく分からなかったので1番安いところに頼んだら、何もしてくれないため、途中から別の会社に変更した」というケースも少なくありません。

初めての場合、比較検討することは大切ですので少なくとも2社以上に相談されることをお勧めいたします。

【適した企業】

・CEマークの対応が初めて/経験が浅く、適合までの手順が分からない

・設計段階からCEマークの要求を落としこみたい

・試験がNGだった場合に専門家からアドバイスが欲しい

・CEマークの実績はあるが特定の法令/整合規格へのコンサルティングをしてほしい

・今後はCEマークの自社対応ができるように社内教育をしてほしい

【向いていない企業】

・製品の該当法令/整合規格の要求事項から認証機関・試験所など第三者機関の関与が必要

・法令/整合規格の要求ではないが、ユーザーから第三者機関の関与を求められている

それぞれの特徴について解説しましたが、認証機関・試験所とコンサルティング会社・個人エンジニアでは、それぞれの役割が異なります。

またコンサルティング会社・個人エンジニアは、サービスの範囲も深さも大きく異なるので、依頼先を選ぶことが非常に重要になります。

弊社を選択肢の一つに入れていただけますと幸いです。