アメリカ・カナダへの輸出を検討している際、UL認証という言葉を耳にするのではないでしょうか。ただ、調べていくとNRTL認証というワードもでてきて混乱してしまったかたは、いませんか。今回は、UL認証を含む北米輸出、NRTL認証とは何なのか、詳しく解説していきます。
NRTLとは?
Nationally Recognized Testing Laboratory(NRTL)は、製品の評価、テスト、および認証を提供するために労働安全衛生局(OSHA)によって承認された第三者機関です。現在20の機関がNRTLとして承認されており、その中の1つにUL社があります。つまり、UL認証はNRTL認証の1つであり、認証する組織がUL社だということです。
NRTLは、米国の職場で使用される製品について、連邦規則29 CFR 1910.7に基づいて労働安全衛生局(OSHA)によって承認されています。米国市場へ上市する際、NRTL認定がないと、多くの現地小売業者は製品の受け入れを拒否します。つまり、NRTL認証は、CEマークのような法律ではないにしろ、米国市場で販売する場合には外せない認証ということです。
NRTLは何をしてくれるの?
労働安全衛生局(OSHA)によって承認されたNRTLの組織は、特定の製品の認証を実行して、設計および一般的な業界のOSHA電気規格の両方の要件を満たしていることを確認することを承認します。
アメリカの規格
アメリカの基準・規格は労働安全衛生局(OSHA)とアメリカ規格協会(ANSI)の2つの団体が定めています。
【OSHA】…アメリカ労働安全衛生局(Occupational Safety and Health Administration)。1970年に労働安全衛生法(OSHA基準)が施行され、アメリカ労働省の機関の1つとして設立。OSHA基準29 CFR PART 1910では<u>事業者に対して職場の安全と健康的な労働環境の整備を義務付けている。
【ANSI】…アメリカ規格協会(American National Standards Institute)1918年設立。ANSIでは規格は作成せず、専門分野の団体や関連する委員会などによって作成された規格を、ANSI規格として承認する方式を採用している。
【SDO】…規格開発機構(Standards Developing Organizations)。上記の通り、実際に規格を作成し、ANSIに提言する組織。UL(米国保険業者安全試験所)やNFPA(米国防火協会)が所属している。
【NFPA】…アメリカ防火協会(National Fire Protection Association)防火基準の制定等を行う非営利団体。NFPAが発行する基準・規格はアメリカ国内で広く認知されている。
NRTL認証のステップ
- NRTLの認証マークを製品上へ貼付する
- 製品の該当する規格の範囲を確認する
- 評価可能なNRTLを選定・依頼する
- 該当する製品安全性テスト基準への製品の適合性を示す
- NRTLは、登録された認証マークを製品に適用することを製造業者に許可する
NRTLはどんな会社があるの?
今日、OSHAは、米国とカナダにサイトを持つ20の組織をNRTLとして認定しています。





これらの組織のいずれかから認証マークが表示された場合、その製品はOSHAの厳しい要件を満たし、認定された有能で客観的な第三者機関によってテストされていると信頼できます。
NRTL認証以外の認証方法(Field Evaluation)
NRTL認証を取得する以外にも、製品の安全性評価を行う方法があります。それがField Evaluation です。Field Evaluationは製品が特定の用途および場所において評価を受けることが可能なプロセスです。つまり、対象となる1台の製品に対して安全性評価を行います。Field Evaluation は、NRTLのように工場監査が不要な評価方法です。
NRTLとField Evaluationの比較
ここで「自社製品はNRTLとField Evaluationのどちらで北米輸出するべきか」と迷われるかたも多いかと思います。ポイントは、北米への輸出台数と仕様変更の有無です。

同モデルを複数台出荷される場合にはNRTL認証、1台のみの販売や出荷ごとに仕様が異なるならField Evaluationが向いている傾向にあります。しかし、製品によっても異なりますので、まずはそれぞれのメリットデメリットを把握することが大切です。
リープの支援
当社では、製品のNRTLおよびField Evaluationの認証取得サポートを行っております。
・NRTL代行選定…対象装置及び仕向地の評価ができるNRTLの調査
・GAP分析…実機と規格との差分分析
・申請支援…NRTL向け申請書の記入支援
・現地試験の立ち合い…Field Evaluation評価時にアテンド及び対応
北米輸出でお困りの点がありましたら、お気軽にお問い合わせください。