部品、組込製品とCEマーク
世の中の製品・装置には単独で使用されず、何かの装置に組み込まれて使用される「部品」として扱われる物が多々あります。部品は、どこで誰が使うか分からない物、逆に組み込まれる先が特定されている物など様々です。
CEマークの原則では、CEマーキングは「最終製品」に対して行うとなっておりますが、ユーザー(購入先)からは部品や組み込まれる製品にもかかわらずCEマークに対応して欲しいと要望があるため、ますます混乱しやすいです。
部品や組み込まれる製品にCEマークは必要なのか
まずは「部品」について説明いします。
部品は大きく3つのパターンに分けることが出来ます。
1.電気機器を搭載してなく、電気/空圧/油圧で動作しない部品
(ネジ、カバー、樹脂製品など)
2.電気機器を搭載しているが単独では使用されない部品
(スイッチ、電源ユニットなど)
3.電気機器を搭載していないが、電気/空圧/油圧など動力を供給することで動作する
(掘削用ヘッド、ミッション、ギアなど)
電気機器を搭載してなく、電気/空圧/油圧で動作しない部品について
ほとんどの部品がCEマークの対象外です。しかし、組み込む先がRoHS対応する場合、RoHSのエビデンス(試験データなど)を要求される可能性がありますのでご注意ください。
電気機器を搭載しているが単独では使用されない部品について
こちらは使用方法や仕様により異なります。
まず「安全構成部品」について説明いたします。
安全構成部品とは、下記4つすべてに当てはまるものです。
① 安全機能を実行する役目をする。
② 単独で市場に置かれる。
③ その装置の故障、誤動作が人の安全を危険に晒す。
④ 機械が機能するためには不要であり、機械が機能するためには通常の構成部品で代用可能である。
具体例
① 取り外し可能な機械的伝動装置用にガード
② 人の存在を検出されるために設計された保護装置
③ 動力式のインターロックしき可動式ガード
④ 安全機能を確実にする論理ユニット
⑤ 機械の危険な動きの制御を目的とする故障検出用の追加手段を伴うバルブ
⑥ 機械排気用抽出システム
⑦ 機械の加工に関与する可動部品から人を保護するために設計されたガードおよび保護装置
⑧ つり上げ機械のローディングおよび移動制御用の監視装置
⑨ 人を座席に保持するための拘束システム
⑩ 非常停止装置
⑪ 潜在的に危険な静電荷の蓄積を防止するための放電システム
⑫ エネルギー制限装置および除去装置
⑬ 騒音の放出および振動を削減するためのシステムおよびび装置
⑭ 転覆防止保護構造
⑮ 落下物防止保護構造
⑯ 両手制御装置
⑰ 異なる荷揚げ時間での人の昇降用に設計された機械用の構成部品
(a)荷揚げ用ドアのロック用装置
(b)荷重運搬ユニットの落下または未確認の上昇移動を防止するための装置
(c)過速度制限装置
(d)エネルギー蓄積緩衡装置
(e)エネルギー散逸緩衡装置
(f)油圧回路のジャッキに取り付けた安全装置で、落下防止用装置として使用されている場合
以上が安全構成部品です。
CEマークの該否判定は下記となります。
1.駆動部がある⇒対象
2.危険電圧(交流42.4V、直流60V以上)で使用する⇒対象
3.危険電圧未満かつ駆動部なし⇒対象外
4.安全構成部品⇒例外なく対象
電気機器を搭載していないが、電気/空圧/油圧など動力を供給することで動作する部品について
これは、どこで誰が使用するか関係なくCEマークの対象です。
しかし、例外的な対応ですので詳細に説明いたします。
気になる対象指令は機械指令となり、その中でも半完成品(組込製品)の分類となります。
半完成品は部分的に完成した機械とも呼ばれ、定義はそれ自体では特定用途を実行できないものとされています。
つまり、連結する部品または構成部品で構成され、少なくともその部品のひとつは動作するが、特定の用途を実行するために必要ないくつかの要素が欠けているアセンブリであることです。
それ自体で特定の用途を実行できるが、必要な保護手段または安全構成部品だけが欠けている機械は半完成品または部分的に完成した機械とは見なされないのでご注意ください。
半完成品の適合方法
半完成品の適合方法は、他の機械指令適合とほぼ同じ手順ですが、用意する技術文書がいくつか異なります。リスクアセスメントを実施し、対象の規格要求に適合させ、必要があれば試験を実施し、必須要求事項の回答書を作成し、TCFなどのドキュメントを作成すれば自己宣言可能です。
その上で普通の機械指令適合と違う箇所は3点です。
・適合宣言書ではなく組込宣言書を作成する。
・取扱説明書にプラスして組込手順書を作成する。
・CEマークを貼付してはならない。
以上となります。
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