今回のテーマは「UL認証」の意味についてです。

この言葉を耳にするのは北米からの引き合いがあった時だと思います。

北米のユーザ、商社、納品先の国内メーカなどからUL認証の取得経験があるか、現行品でUL認証を取得できるか、仕様要求書にUL認証が書かれているなど、聞かれ方は様々かと思います。

「UL認証」という言葉は存在しますが、使い方を間違えているケースに遭遇することが多々あります。

そこで今回は「UL認証」の正しい意味について解説いたします。

まず北米の認証制度を簡単に説明いたしますが、今回は電気安全の認証に絞っておりますので下記制度は除きます。

FCC

https://www.fcc.gov

FDA

https://www.fda.gov

電気安全の認証が必要な機器は限定されており、「工業環境で使用される機器」のみ認証が必要となります。

そのため一般家庭で使用する家電などは対象外です。

背景は労働災害(火災、感電)を防ぐことを目的として導入された認証制度だからです。

そして一番重要なのはこの制度を守る義務が課せられているのは労働現場の責任者なことです。

具体的には北米の工場を運営している会社(運営会社)が該当します。

製造業者ではない、と覚えておいてください。

では運営会社が課せられている義務を一言で説明します。

・労働者に安全な環境/設備を提供する事

では安全な設備とは何か・・・

答えは認証を取得した設備です。

そのため運営会社は自社で使用する設備を認証品で揃える必要があり、それが巡り巡って皆様(機器の製造業者)への要求に変化します。

ここからが本題です。

「認証品」=「UL認証」は間違えではありません。

しかし「認証品」は「UL認証」だけではありません。

NRTL(https://www.osha.gov/nationally-recognized-testing-laboratory-program/current-list-of-nrtls)に属している権限を与えられた会社から認証取得した製品はすべて認証品です。

そのため認証品の事をNRTL認証と呼び、NRTLの中の一社であるUL社が認証した製品を「UL認証」と呼びます。

なぜ総称の様に「UL認証」と呼ばれているかですが、歴史/知名度/シェアがダントツだからです。

繰り返しになりますがUL社以外が認証した製品もUL認証と全く同じ効力です。

そこで「UL認証」を要求された際に下記をご確認ください。

・使用環境

・UL社指定で認証を取得する必要があるのか

・UL社以外の認証でも問題ないか

・他の認証は必要か(FCCなど)

認証制度やNRTLの存在を知らずに要求されているケースは多々あります。

しかし前述の通り、UL社は知名度もシェアも兼ね備えておりますので、顧客要求としてUL社の認証が欲しいケースも考えられます。

そのため事前に要求事項の意図を必ず確認してください。

ここからは余談となります。

認証を取得する際に対象の機器はNRTLの試験を受けます。

その試験の際に参照される規格は「UL規格」であることがほとんどです。

※UL規格はUL社以外も参照可能です

UL社は認証機関でありながら、規格も発行しています。

規格にもULが付くため北米認証が「UL認証」と呼ばれている一つの要因と考えます。

以上が正しい「UL認証」の解説となります。

弊社では北米輸出に関わる認証取得における支援サービスを提供しております。

下記に該当する方はお気軽にご相談ください。

・北米の認証制度をもっと詳しく知りたい

・認証を求められているが、費用と工数がわからない

・認証は不要と言われているが不安がある