投稿日: 2020年9月18日
「自社製品をCEマークに適合させよう」と調べ始めたとき、電気機器の製造者の方々がぶつかる壁が、この「機械指令と低電圧指令のどちらで評価するべきか」ではないでしょうか。
「自社製品はどちらで進めるべきなの?」「両方を宣言しておけば大丈夫?」という皆様に向けて、この記事では、「機械指令」と「低電圧」の違いを解説していきます。
まず、そもそも機械指令とはどのような指令なのかをおさらいしましょう。
機械指令は、EU域内で使用される機械の安全要件について定めています。
機械指令は以下のような製品に適用されます:
機械指令の詳細は、機械指令の記事をご覧ください。
続いて、低電圧指令は、定格電圧がAC50〜1000 VおよびDC75〜1500 Vで設計されたすべての電気機器に適用されます。電圧定格は、機器の内部電圧ではなく、電気入力または出力の電圧を指します。
低電圧指令の詳細は、低電圧指令の記事をご覧ください。
では、いよいよ機械指令と低電圧指令の境界についてご説明いたします。欧州域内において下記の指令は、低電圧指令よりも優先されます。
つまり、まずは低電圧指令よりも機械指令が優先的に適用されます。しかし、一部の電気機器は、機械指令の1条(2)(k)にて除外され、低電圧指令の対象であるとされています。
つまり、下記の製品であれば、機械指令ではなく低電圧指令への適合が求められます。
(k)低電圧指令でカバーされている限り、以下の領域に該当する電気および電子製品 :
—家庭用の電気製品
—オーディオおよびビデオ機器
—情報技術機器
—通常のオフィス機械
—低電圧開閉装置および制御装置
—電動機
上記に当てはまる機器は、機械指令ではなく低電圧指令が適用されますので、低電圧指令での評価が必要になります。上記以外で、機械指令に当てはまった場合でも機械指令のANNEX1には、低電圧指令の要件を正確に反映した電気安全の要件が含まれています。つまり、機械指令でも電気安全の評価は必要となります。
機械指令は、電気機器だけでなく、機械的、化学的(特に攻撃的な物質の放出など)およびその他のすべてのリスクを含む、電気機器の使用から生じるすべてのリスクをカバーしています。
低電圧指令は、騒音と振動の健康面、および人間工学的要件が指令の意味での危険から保護するために必要である限り、人間工学的側面もカバーしています。機械指令は低電圧指令と相互に排他的であるため、どちらか一方のみが適用され、両方は適用されません。つまり、両方の指令を適合宣言書(DoC)を記載することは出来ません。
以上が、欧州法令における機械指令と低電圧指令の違いです。
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該当指令は、なかなか判断の難しい製品/装置もあります。「機械指令か低電圧指令かばかり気にしていたら、無線機器指令が抜け漏れていた」という事態も起こりがちです。機械指令・低電圧指令に限らず、該当法令の判断でお困りの方は、まずはお問合せフォームよりお気軽にご相談ください。