投稿日: 2020年4月15日
― 2つの製品群
国により法令/制度が違うのはご存知だと思いますが、製品群によって同じ国でも全く違う法令/制度が適用になります。今回は、そんな世界の法令に関する動向と留意点について解説いたします。
まず、製品群は大きく分けて2つに分かれます。
1は素人向け、2は専門家向けとなります。そのため、自然と1の製品群の方が法令/規則は厳しくなります。また1はリスク(怪我をする可能性)が低いですが大量輸出になり、2はリスクが高くなりますが少量輸出の場合が多いです。つまり法令/制度を違反した場合、1は大量の製品のリコールが必要となり、2は損害賠償をする必要があります。
どちらも多額の費用がかかりますので、コンプライアンスと法令適合費用を天秤にかけるのだけはしてはいけません。
― 特殊例‐無線機器
また特殊な例として無線機器があります。
無線機器はどこで誰が使用するかは関係なく、無線機器のみ各国で法令/規則が存在します。
こちらは日本を含めすべての国が違う法規制ですので注意が必要です。共通点は、適合させるためには試験が必要な事です。仕向地(輸出先)が多岐にわたる場合、試験項目/費用は国ごとですので数百万円~数千万円になることも珍しくありません。
次に地域別に法令/制度について解説いたします。
そもそも、欧州に比べ法令/制度が整っている国々は多くありません。
しかし欧州をはじめ、アメリカ/カナダ/ロシア/中国/韓国/は明確な法令/制度が存在し、取り締まり制度も整っています。したがって、どの様な製品に関しても法律の適合が必要になります。各国法令の詳細は、応用知識の別ページにて解説いたします。
上記以外の国は「1.一般コンシューマー向け製品(家庭用/商業環境向け)」の法律は存在しますが、「2.工業向け製品/装置(工場向け)」の製品群に関しては法令/制度自体存在しないところが多いです。
しかし、南米は北米にならえ、アジア/中東/アフリカは欧州にならえと法の整備を進めていますので、いつ「2.工業向け製品/装置(工場向け)」も対象になるかわかりません。
年々規制は厳しい方に進んでいますので、輸出の時期で対応は大きく変わります。
こちらの国々に関しては常に変化しているため、個別に対応しております。
お悩みの方は下記までお問い合わせください。
ご相談の際は、お手数ですが製品情報とHSコードのご準備をお願いいたします。
各国の法令を理解いただくために日本と世界との違いについて解説します。
日本には「1.一般コンシューマー向け製品(家庭用/商業環境向け)」、「無線機器」に対する規制は存在しますが、「2.工業向け製品/装置(工場向け)」の規制はありません。
装置の安全ではなく環境(工場)の安全を守るための労働安全衛生法があるだけです。産業機器のリスクアセスメントの実施は推奨されましたが、罰則はなく産業機器個別の技術要求はありません。
しかし、技術基準はISO/IEC規格を基に作られたJIS規格が存在します。日本はJIS規格(技術基準)があるだけで規制がないため日本向け製品は技術/精度こそ高いですが、安全の概念がありません。
ここからは弊社の私見ですが、日本で産業機械を扱う方は優秀です。識字率も高く、島国のため言語は一つです。また事故が起きた場合、機械ではなく人に責任が課せられます。
これらが世界との違いです。また環境規制であるRoHSについても同じことが言えます。
RoHSとは、電気電子機器における有害物質を規制する法律で今世界中にRoHS規制が広がっています。しかし、根本思想が違うため日本にRoHSの考えはなく、今後も制度化される可能性は低いでしょう。
このように日本とその他の国々との大きな違いは根本思想にあります。
日本では使用者の責任、世界のほとんどでは機械の責任となります。これが日本の特徴であり世界との違いです。優秀だからこその特徴であり、世界との差でもあります。
― 世界基準を知り機会損失をなくす
今後もグローバル化は物凄いスピードで進んでいきます。
展示会も世界中から人々が集まり、インターネットを通じて製品情報を世界中に発信することができます。そのため技術も精度も高い日本の工業製品/装置は世界で注目されますが、「安全」の対策が出来ていないため販売できない、もしくは安全対策(設計変更)に時間と費用がかかり機会損失してしまうケースが少なくありません。
日本の市場だけをターゲットにしている場合はいいですが、世界を市場にしていくためには世界を知り、多数派の世界基準に合わせる必要があります。世界基準と言っても前半でお伝えした通り、基本的には欧州とアメリカが牽引しているため2つの基準を知り対応するのが世界に進出する第一歩です。
― 世界基準への社内体制構築支援
弊社は欧州やアメリカ向けの個別製品の輸出支援を中心にさせていただいておりますが、世界基準への社内体制構築支援も行っております。企業によって日本と世界のダブルスタンダート、ワールドスタンダードの一本化など考え方は様々です。また会社の規模や今後の計画により目標は同じでも構築の手法も様々あります。弊社では企業が中核事業を放棄することなく新たな成長機会を追求するオーダーメイド型の支援を実施いたします。
こちらの記事や他の記事をご覧いただき、世界基準への対応に興味を持っていただけた皆様からのご連絡を心よりお待ち申し上げております。また、関連記事にて代表国の法令/制度の詳細を解説しておりますので、是非そちらもご覧ください。
※掲載されている制度情報・法令(和文・英文共に参考の仮訳となります)等は最新のものとは限りません。また、全ての制度情報・法令が網羅されているわけではありませんのでご留意ください。最終的なご確認は、各国の公的機関へお問い合わせいただくか法令の原文において行われるよう、お願いいたします。当該情報の利用の結果発生するいかなる損害に対しても、弊社は一切責任を負いかねますので、予め御了承くださいますようお願いいたします。また、情報の内容には正確を期しておりますが、誤りにお気づきの際は、問い合わせ先よりご連絡いただけると幸いです。