投稿日: 2020年4月29日
整合規格とは、CEN (欧州標準化委員会)やCENELEC (欧州電気標準化委員会)、ETSI (欧州通信規格協会)が発行する、欧州の統一規格です。
初めて聞いた方もいるかもしれませんが、日本でいうところのJIS規格です。欧州では正式にEN規格と呼ばれています。この規格を使用した適合性の証明を一般的に『見なし適合』と呼びます。各指令/規則に対して用いることのできる整合規格のリストは、欧州官報(Official Journal)で公表されています。
適合性評価のために整合規格を使用する場合には、リストを確認して適切な規格を選択する必要があります。製造者の多くは、整合規格が必須要求事項に置き換わることと誤って認識していることが多いですが、整合規格は必須要求事項に適合するための技術的手段の一つに過ぎません。
規則((EU) No 1025/2012は、「規格」、「国家規格」、「EN規格」、「整合規格」および「国際規格」を定義しています。
整合規格は、他のEN規格と同様に欧州標準化機関の内部規則に従い開発され公表されます。この内部規則に従って、全てのEN 規格は、国家標準化機関によって国家レベルに置換えられます。
整合規格は、任意適用の状態を維持しており、整合規格の定義は欧州連合官報(OJEU)に表題を公表することを言及していません。整合規格の表題がOJEU に公表されない間、整合規格またはその部分は、それらがカバーする必須要求または他の要求への見なし適合を与えません。つまり、OJEUに公表される前の整合規格では、指令/規則へのみなし適合をすることはできないのです。
国際規格または国家規格を特定してEN 規格として採択され、欧州委員会へ整合規格として提示されます。時には、整合規格の一部分のみが必須要求事項を補足することにより、これらがOJEU に公示された後、見なし適合が認められるのです。
必須要求事項は、通常は整合規格の別紙の参考付属書に示されています。必須要求事項の一部分のみがカバーされる場合、それが規格の中で明確に示されていなければなりません。整合規格で提供されるこの「意図した必須または他の要求事項がカバーする範囲」に関する情報は、いわゆる「法的要求への見なし適合」の範囲を決定しています。
「規格への適合」と「見なし適合(整合規格を適用した場合)」とは全く異なる意味合いを持ち、明確に区別されなければならなりません。
「規格への適合」は、通常、規格が「全面的に適用」される状況をいいます。例えば、規格に対する任意認証の場合です。「見なし適合」のためには、該当する必須要求事項だけを適用すれば十分です。
なぜ、この違いが重要かというと、「整合規格へ適合=指令/規則への適合」ではないからです。整合規格を満たすだけで、CEマーキングできるわけではありません。整合規格はあくまでも、CEマーキングするためのツールに過ぎないのです。
また、整合規格は、法的拘束力のある必須要求事項に置き換わることは決してありません。整合規格における仕様は、必須要求事項の代わりにはならず、単にそれを満たす可能性のある技術的な対策であるにすぎません。これは、リスク関連の整合法令において、特に製造者が、整合規格を使用する場合であっても、どの必須要求事項が適用されるかを決定するため製品の全てのリスクを評価する全責任を負うことを意味します。この評価の後、製造者は、整合規格で規定された「リスク軽減対策」を実施するため整合規格の仕様を選択し適用します。リスク関連の整合法令において、製造者はリスクアセスメントによって適用可能なリスクと適用可能な必須要求事項を特定し、適切な整合規格または他の仕様を選択する全面的な責任を負います。一方で、整合規格はリスクを軽減または除去するためのいくつかの対策を提供しています。
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