投稿日: 2020年4月24日
有害物質の使用制限(RoHS 2)指令2011/65/EUは、特定有害物質を電気・電子機器(EEE)から排除することを目的としています。RoHSは「ローズ」と呼ばれていますが、「Restriction of the use of certain Hazardous Substances in electrical and electronic equipment」の略称で、日本語では「電気・電子機器における特定有害物質の使用制限」となります。
そもそもRoHS指令は、2006年7月1日に施行されましたが、それ以前から電気・電子機器の廃棄やリサイクルに対する法律がありました。しかし、定めた廃棄方法はなかなか守られず、EU域内の環境汚染は進んでいきました。そこで欧州委員会は、この電気・電子機器における有害物質をより制限するため、最終的に埋立てや焼却処分される段階ではなく、生産段階に有害物質が使用されていない電気・電子機器にしようとRoHS指令を制定したのです。このように人や環境に影響を与えないように、EUで販売される電気・電子機器の有害物質を非含有とさせることを目的としてこのRoHS指令は制定されました。
RoHS指令での要求事項は、最終製品を構成する「すべての部品および組立品に対して、最大許容値以上の規制物質を含んでいないこと」です。欧州経済地域(EEA)の市場に置かれるすべての新しい電気・電子機器(EEE)に対し、カドミウム、鉛、水銀、六価クロム、PBB(ポリ臭化ビフェニル)、PBDE(ポリ臭化ジフェニルエーテル)、4物質のフタル酸エステルフタル酸ジ-2-エチルヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジ-n-ブチル、フタル酸ジイソブチルの10物質が最大許容値以上含まれてしまうことを規制しています。最終製品は多くの場合、部品および組立品から成り立っているため、製造者はすべての部品および組立品に対して「含んでいないことの証明する体制およびエビデンスを含めた技術文書の作成」を行わなければならなりません。
定格電圧でAC(交流)1,000V以下、またはDC(直流)1,500V以下の機器であり、RoHS指令2のANNEXⅠに定める11カテゴリーすべてが対象となります。
上記のカテゴリー8および9の「医療用機器」・「監視および制御機器」はRoHS1の範囲内ではありませんでしたが、2013年のRoHS 2の範囲に含まれることになり、これらは2019年までに完全に適用範囲となりました。また、家庭用の電球と照明は、WEEE指令の適用範囲内に含まれていませんでしたが、RoHS指令の適用範囲内に含まれることとなりました。
上記のリストは、とても幅広い製品をカバーしているので、大半は製品がどの分類に入るかを明らかにすることができます。しかし、中には分類の判断が難しい製品があります。
この製品の分類に関する欧州委員会からの公式な方法は出されていないため製造者によって選定する必要があります。そこで、欧州整合法令の1つであるWEEE指令を参考にこのカテゴリー選定を行う方法をご紹介いたします。RoHS指令はもともと、廃電気・電子機器(WEEE)指令の適用範囲から抜き出されたものです。WEEE指令は、RoHS指令のカテゴリー1~10と同じ10種の幅広い製品カテゴリーを指定しています。WEEE指令のANNEXⅡにこのカテゴリー1~10に該当する電気・電子機器の代表製品リストがあるので、その代表製品を参考にしていただければ、自社製品の対象カテゴリーの選定も行いやすくなるでしょう。ただし、これは公式な選定方法というわけでないので、あくまで参考としてご使用ください。
使用制限対象物質の10種類である、カドミウム、鉛、水銀、六価クロム、PBB(ポリ臭化ビフェニル)、PBDE(ポリ臭化ジフェニルエーテル)、4物質のフタル酸エステルフタル酸ジ-2-エチルヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジ-n-ブチル、フタル酸ジイソブチルは、使用が制限されています。この計10物質はそれぞれ最大許容濃度が定められ、最大許容濃度を超える量を含む製品は欧州域内へ上市ができません。最大許容濃度の値は、均質材料重量に対してカドミウムは0.01%、その他の9物質は0.1%と規定されています。
製造者は、サプライヤーからの非含有のエビデンスおよび部品データを含むテクニカルファイル(技術文書)を編纂して、電気・電子機器(EEE)の輸出から10年間は、保管しなければなりません。このテクニカルファイルの編纂には、RoHS指令の整合規格であるEN50581:2012が用いられます。