投稿日: 2020年4月30日
EMC指令は、Electromagnetic Compatibilityの略で電磁両立性に関する指令でありCEマーキングの該当指令の1つです。2016 年 4 月 20 日に2004/108/ECから現行の2014/30/EU に置き換えられました。家電・計測機器・産業機械など、電気・電子機器のほとんどが対象となります。
EMC指令は、対象になった機器は最先端技術を考慮し、下記2点を確実にするような設計および製造をしなければなりません。
※EMC指令原文のANNEXⅠ(必須要求事項)参照
イミュニティとは、電磁妨害波に直面した際、劣化なしに意図された動作をする能力のこと。
つまり、製品は電磁的妨害源とならないように、かつ電磁的な干渉を受けても正常に動作するように設計されていなければならなりません。
EMC指令はシンプルで、必須要求事項はこの2つだけです。
しかし、理解することが難しいので解説していきます。
まずEMC指令の対象か否かを図Aのフローに当てはめて判断していきましょう。
それぞれ用語について解説していきます。
製品除外
航空機または航空機に搭載されることが意図された機器。
アマチュア無線家が使用する無線機器で、商業的に入手できない機器。
研究開発の目的のため研究開発施設においてのみ使用される専門家のために予定されたカスタムメイドの評価用キット。
※研究開発目的の評価キットとは
研究開発のためだけに作成・動作し、それ以外の用途では使用できないもの。
(研究開発目的で一般的に使用される評価機器ではありません。)
他の特定指令
無線機器、医療機器、船舶用機器
自動車機器(アフターマーケット品を除く)
※アフターマーケット品とは
自動車メーカー向けではなく、一般市場に投入される自動車専用機器のこと。
本質的に無害
電磁エミッションを発生できないまたは能力がない。
電磁妨害波が存在する中で許容できない劣化が起きない。
※本質的に無害な装置例
など
対象とならなかった場合、機械指令の組込製品、医療機器、玩具の可能性またはそもそもCEマーク対象外(GPSD)の可能性があります。
詳細は、「機械指令」・「医療機器指令」・「玩具指令」の記事をご覧ください。
EMCには主要な要素が2つあります。
そもそもノイズとは電子機器が発生源となり障害を与える電磁波のことです。電子機器は、携帯電話や無線LANのように意図的に電磁波を発生するもの、IT機器のように電磁エネルギーが漏洩してしまうものがあります。後者の「意図的でなく漏洩してしまう電磁波」を一般的にノイズと呼びます。このノイズを受けた場合、電子機器は意図しない動作を引き起こしたり、正しい動作が出来なくなったり、故障してしまう場合があります。
そのため、EMCでは、製品がノイズを放射し過ぎていないか、外部からのノイズに耐性があるかを確認します。
対象となった場合、冒頭の必須要求事項を確実にする必要がありますので手順を説明いたします。
Step1:リスク分析およびリスク評価
必須要求事項で規定されている電磁両立性保護の目的に関するリスクに言及しており、安全についてではありません。
Step2:整合規格(EN規格)の選定
等により規格を選定。
Step3:規格に従い試験の実施
複数の最終製品の組合せの場合、組合せた状態で実施。
Step4:テクニカルファイル(技術文書)およびEU適合宣言書の作成
以上となります。
次に例外的に扱われる「固定設備」に関しご説明いたします。
固定設備とは、予め指定した場所での恒久的な使用を意図し、組立ておよび設置するいくつかの種類の装置、また該当する場合はその装置の特定的な組合せのことです。固定設備はEU域内の自由な移動の特定的な規則に対象とならないため、EMC指令におけるCEマーキングの対象になりません。
※他の該当法令は対象となる可能性があります。
しかし、この固定設備におけるEMC指令の対象外については、固定設備によって発生する妨害波の特性と対処方法を文書化しておく必要があります。また、試験は不要ですが、ノイズ対策を施しておく必要があります。文書化およびノイズ対策をするにはEMCにおける深い知識と長い経験を要しますし、疑義が生じた場合、合理的な説明とエビデンスが必要になります。結論から言えば、このエビデンスを作成するのであれば、試験をしてしまった方が早い/簡単/安全です。弊社では、この固定設備におけるEMCの進め方の無料相談も実施しております。
このEMCに対して弊社では様々な面で適合支援を行っております。
ご覧の通り、リープではEMC指令の入口から出口まで一貫した支援の提供が可能です。
EMC指令、CEマーキングについてお困りの方は下記のお問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。