投稿日: 2020年5月1日
RoHS指令には、除外規定があります。これは製造者が、どうしても禁止する物質を使わないと生産ができなくなってしまうと欧州委員会が認識するものに限定されています。それぞれのカテゴリーに対して適用除外用途を設けており、この適用除外用途を使用している日本国内の部品/半完成品メーカーは少なくありません。その際、製造者の立場でどのような点に気を付けなければならないかを今回は解説していきます。
RoHS指令には、いくつかの特定の免除項目が規定されています。なぜなら、欧州委員会はRoHS指令の適用範囲が広いからです。またRoHS指令の適用範囲に影響する製品があまりにも多いため、禁止された物質のうちのいくつかを使用しないで、製品を設計・製造することが技術的に難しいかもしれないことを認識しているからです。
RoHS指令の適用除外については、ANNEXⅢとⅣに記載されています。物質ごとに用途、使用量の制限、有効期間が細かく定められています。RoHS2の施行時に、カテゴリー1~7、10の適用除外用途は特に指定されない限り、施行日から最大5年と定められました。
RoHS2の施行日は2011年7月21日なので、2016年7月21日には適用除外の期限を迎えたことになります。しかし、大半のものの使用期限の延長申請が行われたため、使用期限が変更になっています。延長申請されていれば、期限を超えていても、正式決定までは引き続き使用可能となります。
RoHS2から対象製品となったカテゴリー8と9(医療機器、監視制御機器)は、適用除外に関しては一部、ANNEX Ⅳで管理することになりました。特に指定がなければ、施行日より最大7年と定められています。カテゴリー11は2019年7月22日から5年間、最大適用除外期限は2024年7月21日となっています。適用除外の有効期間の延長を希望する場合には18ヶ月以上前から延長申請が必要となります。
RoHS2指令の対象である10物質は、一般的に「禁止物質」と呼ばれています。
しかし非常に限定的な使用方法に限り 、特別にこれらの物質を含有していてもいいと定められています。それが、RoHS指令のANNEX ⅢとⅣにある適用除外用途です。
有効期限
適用除外用途に定められた用途はいつまでも除外されているわけではなく、カテゴリーごとに有効期限があります。カテゴリー11については、(EU) 2017/2102にて、適用除外用途の有効期限を2019年7月22日から5年間と明確化されました。
この有効期限はRoHSの対象カテゴリーによって異なり、さらにそれぞれの除外用途ごとにも有効期限があるため複雑です。さらに、適用除外用途は、頻繁に追加・削除の見直しが行われています。指令原文を確認するだけでは正しい情報が確認出来ません。そのため、もしこの適用除外用途を使用している場合には注意が必要です。
この有効期限の延長申請は、除外期限の18カ月前までに更新申請を行うよう規定されています。期限までに申請がなかったものは、定められた有効期限で終了となり、以降は使用が出来なくなります。免除の更新要求に関するEU委員会の決定で申請が受け入れられ、更新の場合は新しい有効期限が示されます。拒否された場合には、もともとの有効期限が適用されます。しかし、非常に多くの延長申請がなされ、有効期限内にEU委員会からの回答ができなかったため、EU委員会は、更新申請に対する結論が決定するまでは、有効期限後も適用除外の内容がそのまま有効となるとしました。これにより、適用除外用途はそれぞれの使用用途ごとに有効期限がバラバラになってしまったのです。
適用除外用途に関する最新情報は欧州委員会の公式サイトにて確認できます。
https://ec.europa.eu/environment/waste/rohs_eee/legis_en.htm
見直しされた内容はEU官報で告示されますが、指令原文のANNEX ⅢとⅣへ反映されるわけではなく、改正部分のみEU官報で公表されています。そのため、製品に適用除外用途を使用している場合には、定期的に欧州委員会の公式サイトの確認し、社内の管理リストなどを最新に保つことが大切です。
ANNEX IIIの適用除外用途リスト
全カテゴリーが対象(2020年3月5日更新分まで反映しています)
下記書類をクリック(PDFリンクに飛びます)
カテゴリー8と9が対象(2020年3月5日更新分まで反映しています)
下記書類をクリック(PDFリンクに飛びます)
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